活動成果

COIプロジェクト 鹿児島開催シンポジウム「認知症の人と作る未来社会」

2016年06月09日講演・シンポジウム

kagoshima_01 錦江湾に浮かぶ桜島が碧空に映える爽やかな夏日、2015年7月24日(金)、COIプロジェクト「真の社会イノベーションを実現する革新的『健やか力』創造拠点」の地方開催シンポジウム「認知症の人と作る未来社会」が、鹿児島市重富荘で行われました。鹿児島県内外から約100名の方々と、10年後の未来を見据えた前向きで刺激的な時間を共有することができました。

参加者は、高齢者の医療・福祉の専門職、行政、NPO・当事者団体、大学生・大学院生、金融業界や一般企業の方など多岐にわたり、年齢も20代から70代まで幅広く、本プロジェクトのコアテーマの一つである「多領域・多世代」を、まさに具現化した参加状況でした。

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文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課課長補佐 江頭基様の来賓挨拶、COIの紹介で開会し、鹿児島県の高齢者の現状と施策として、鹿児島県保健福祉部 介護福祉課 地域包括ケア対策監 永山広子様より「鹿児島県の高齢者の現状について」、鹿児島県消費生活センター 所長 倉園茂樹様より「高齢者の消費者トラブルの現状について」の講演がありました。
続いて、慶應義塾大学 精神神経科学教室 専任講師 岸本泰士郎氏より「遠隔技術を用いた精神科医療・福祉の現在と未来」についての基調講演があり、COI及びCOLTEMの紹介と研究成果として、弘前大学 COI研究推進機構(医学研究科)戦略統括 教授 村下公一氏より「弘前大学COIプロジェクト概要」について、京都府立医科大学 精神機能病態学 准教授/RL 成本迅氏、ベネッセスタイルケア 執行役員/PL 奥村太作氏より「COLTEM概要」について、志學館大学 心理臨床学科 教授 飯干紀代子氏より「COLTEM概要 高齢者の経済活動における意思決定 ― テレビ会議システムを用いた支援 ―」について、三井住友信託銀行 経営企画部 理事・CSR部長 金井司氏より「COLTEM概要 認知症高齢者の財産管理 ― 金融機関の課題とCOLTEMにおける取り組み ―」について、講演がありました。

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参加者アンケートでは、

  • 高齢者、認知症の方々への新しい取り組み・新しい情報を知れた。今後に興味があり期待したい。
  • COLTEMの活動が良く分かり、様々な職種の専門的な見解を聞けた。
  • 遠隔操作医療の可能性を知れた。半面、便利性も大切だが人としての温かみも大切と思った。
等の感想が聞かれました。

興味を持った講義内容として、
  • 遠隔医療・遠隔技術、またそれらの問題
  • COIプロジェクトやビッグデータ
  • 意思決定システムやサポートシステムの構築
  • 金融・財産管理や消費者トラブル
  • 今後の研究やシステムの普及
などが挙げられました。

プロジェクトに期待することとして、
  • 遠隔技術による治療の実用化と普及
  • 今後の研究や活動
  • 安心して暮らせる社会作り
  • 活動内容を広く発信 ⑤現場で活用される研究と実績
  • 予防医療と認知症の早期発見・早期治療
  • 「人の温もり」を大事にした研究・活動であること
などが挙げられました。


会場となりました重富荘は、薩摩藩第28代当主島津久光が建てた別邸です。彼は、幕末の江戸から明治へと変わる日本の政治と文化の橋渡しをした人物と言われます。本Iプロジェクトで私たちが進めているテーマは、「テレビ会議システム」という最新テクノロジーの展開ですが、その前提となるのは、顔の見える関係性です。古きものを活かしながら新しきものに繋いでいった久光のように、テクノロジーと地域を結ぶ懸け橋になるよう、鹿児島から、確実に歩みを進める第1歩となったシンポジウムでした。